【初心者向け】なんだか体が重いと感じたら:短いボディスキャンで疲労に気づくマインドフルネス
日々の仕事や家事、人間関係など、私たちは様々な活動の中で知らず知らずのうちに心や体に負担をかけています。
「なんだか体が重いな」「だるさが抜けない」
そう感じることが増えていませんでしょうか。忙しい毎日の中で、体の疲労感に気づきながらも、そのままにしてしまいがちかもしれません。
この記事では、そうした体の「重さ」や「だるさ」といった感覚に優しく注意を向け、疲労感を少しでも和らげるためマインドフルネスのアプローチをご紹介します。特に、初心者の方でもすぐに実践できる「短いボディスキャン」の方法を中心にご説明します。この記事を読むことで、マインドフルネスの基本的な考え方を知り、体のサインに気づき、ご自身の心と体を労わる簡単な方法を身につけていただけることでしょう。
マインドフルネスとは何か? なぜ体の疲労に役立つのか
マインドフルネスとは、簡単に言えば「今、この瞬間に、意図的に、評価をせずに注意を向けること」です。私たちは普段、過去の出来事を後悔したり、未来の心配をしたりと、心が「今ここ」から離れてさまよいがちです。マインドフルネスは、意識を意図的に「今この瞬間」に戻す心のトレーニングと言えます。
この「今ここに注意を向ける」スキルは、体の疲労にも役立ちます。疲労を感じている時、私たちはその感覚から目を背けたり、「疲れている場合じゃない」と無視したりしがちです。しかし、マインドフルネスの視点では、体の「重い」「だるい」といった感覚も、評価せずにありのままに受け止めます。
体に注意を向けることで、普段は見過ごしている疲労のサインに気づくことができます。そして、そのサインに気づき、優しく寄り添うことで、心身の緊張が和らぎ、疲労感が少し楽になる可能性があります。無理に「疲れていないフリ」をするのではなく、「疲れているな」という感覚を「あるもの」として受け入れる練習が、マインドフルネスなのです。
なぜ短いボディスキャンが初心者や忙しいあなたに適しているのか
マインドフルネスの実践法はいくつかありますが、特に体の感覚に注意を向ける「ボディスキャン」は、初心者の方や忙しい方にとてもおすすめです。その理由は以下の通りです。
- 特別な準備や場所が不要: 座るか横になるスペースがあれば、どこでも行えます。
- 短時間で効果的: 全身をじっくりスキャンするのではなく、数分だけでも十分な効果が期待できます。忙しい合間にも取り入れやすいです。
- 体への意識集中: 体の感覚に注意を向けるため、考え事が浮かんできても比較的簡単に意識を戻しやすい傾向があります。
短いボディスキャンは、まさに「心のトレーニング」の第一歩として、日々の生活に無理なく組み込める実践法と言えるでしょう。
数分でできる! 短いボディスキャンの実践方法
それでは、早速短いボディスキャンを試してみましょう。ここでは、椅子に座ったままできる簡単な方法をご紹介します。横になって行っても構いません。時間は3分程度を目安にしてみましょう。
実践ステップ
- 姿勢を整える: 椅子に深く腰掛け、足の裏を床につけます。背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜いて楽な姿勢をとります。手は太ももの上などに置きます。
- 呼吸に注意を向ける: 目を優しく閉じるか、視線を数メートル先に落として半開きにします。鼻や口を通る呼吸の感覚に数回注意を向け、ゆっくりと呼吸を繰り返します。呼吸をコントロールしようとせず、自然な呼吸に寄り添います。
- 体の一部に注意を向ける: それでは、体の感覚に注意を移します。まずは、右足のつま先に意識を向けてみましょう。つま先に何か感覚があるでしょうか?ピリピリする感じ、ムズムズする感じ、何も感じない、どんな感覚でも構いません。ただ、そこに注意を向けます。
- 注意をゆっくり移動させる: 右足のつま先から、ゆっくりと注意を右足全体(足裏、かかと、足首、ふくらはぎ、太もも)に移動させていきます。それぞれの部位にどんな感覚があるか、ただ観察します。「重い」「だるい」「温かい」「冷たい」など、感じたままを認めます。良い悪いといった判断はせず、「あ、ここでこんな感じがするな」と気づくだけで十分です。
- 体の他の部分へ: 右足が終わったら、左足も同じように、つま先から太ももまでゆっくりと注意を移動させます。次に、骨盤、お腹、背中、胸、肩、右腕(指先から肩へ)、左腕、首、顔、頭頂部、と、順番に注意を向けていきます。途中でどこか特定の部位に強い疲労感やだるさを感じたら、そこに少し長く注意を留めてみても構いません。
- 全身の感覚へ: 全ての部位に注意を向け終えたら、最後に、体全体の感覚に数秒間、優しく注意を向けます。体が椅子や床に支えられている感覚、衣服が触れている感覚など、全身で感じられる感覚をただ観察します。
- ゆっくりと今に戻る: 用意した時間になったら、体全体の感覚から、少しずつ意識を周りの環境に戻します。部屋の音や、体の下に感じている椅子や床の感覚に気づきます。準備ができたら、ゆっくりと目を開けます。
実践する上でのコツと注意点
短いボディスキャンを行う際に、いくつか知っておくと役立つコツや注意点があります。
- 「何も考えない」を目指さない: マインドフルネスは「無になる」ことではありません。実践中に考え事が浮かんできたとしても、それはごく自然なことです。「あ、考え事をしているな」と気づいたら、「ダメだ」と自分を責めず、優しく体の感覚に注意を戻すだけで十分です。
- 「評価しない」練習: 体の感覚や考え事、感情に「良い」「悪い」といった評価を加えないように意識します。「だるいのはいけないことだ」「こんなことを考えてしまうなんて」といった評価を手放し、「ただそう感じている」という事実をありのままに受け止める練習です。
- 完璧を目指さない: 短い時間でも、全てのステップを完璧に行えなくても全く問題ありません。今日は足だけ、今日は座っている感覚だけ、というように、できる範囲で試してみることが大切です。
- 自分に優しく: マインドフルネスは自分を追い込むためのものではありません。疲労を感じている自分に気づき、「頑張っているね」「少し休もうか」と心の中で優しく声をかけるように、温かい気持ちで自分自身の心と体に接してみてください。
まずは数分から、無理なく始めてみましょう
「なんだか体が重いな」「だるさが取れないな」と感じた時、短いボディスキャンは、そんな体のサインに気づき、自分自身を労わるための簡単な方法です。特別なスキルは不要です。椅子に座ったまま、数分間、自分の体に優しく注意を向けるだけで、日々の忙しさで散漫になりがちな心を「今ここ」に戻し、心身の穏やかさを取り戻すきっかけになる可能性があります。
まずは、1日の中で数分でも良いので、この短いボディスキャンを試してみてください。慣れてきたら、時間を少しずつ長くしたり、横になって行ったりと、ご自身に合った方法を見つけていくのも良いでしょう。
継続することで、体の小さな変化や疲労のサインに気づきやすくなり、それに応じて必要な休息を取るなど、ご自身の心と体をより大切にできるようになるかもしれません。無理なく、楽しみながら、マインドフルネスを日々の生活に取り入れていただければ幸いです。